2020年11月9日月曜日

メッセージ「まことの礼拝、豊かな恵み」

 奈良教会 牧師 汐碇 直美

<ヨハネによる福音書 4章16~26節>

まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時が来る。
今がその時である。23節)

そもそもが、ありえないような出会いでした。ユダヤ人であるイエスさまと、敵対するサマリア人の女性との出会い。それも、他に誰も水を汲みに来ない真昼間の井戸での出来事です。彼女が人目を避けていたのには5人もの夫と別れてきたこと、そして今のパートナーとは結婚していないという事情が絡んでいたはずです。その彼女の心の傷に、イエスさまはあえて真正面から踏み込まれます。神さまの前に私たちは何も取り繕うことができません。「わたしには夫はいません」と、包み隠さず正直に答えた彼女を、イエスさまは招いて言われました。

「婦人よ、わたしを信じなさい。まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時が来る。今がその時である。」霊というのは、今生きて働いておられる神さまの力のことです。今、ここで礼拝をささげることが大切だということです。過去でも未来でもなく、私たちの心を「今」に向ける必要があります。また霊も真理も、私たち人間ではなく、神さまに属するものです。ですから自分の力ではなく神さまの力によって、神さまの招きを受けて、私たちは今、ここで、礼拝をささげることができるのです。

 私たちがイエスさまと出会うのは、私たちの心の最も奥深く、光の届かない暗い部分です。なぜなら、そこにイエスさまの十字架が立っているからです。そこで、イエスさまが私たちの全ての罪を背負って、十字架に架かり、亡くなられたからです。孤独の中で神さまを求め、心と魂が餓え渇ききっていた彼女は、まことの救い主イエス・キリストと出会うことができました。

今、ここで、目の前にいる救い主を受け入れること。それこそが彼女のなすべき、まことの礼拝でした。そして彼女は「永遠の命に至る水」という驚くばかりの豊かな恵みを、イエスさまからいただいたのです。私たちも今、この主イエス・キリストを救い主として礼拝し、豊かな恵みをいただくようにと、招かれているのです。